2012年4月1日日曜日

教職課程体験記

教職課程体験記

 筆者は教職課程を履修し、高等学校教諭一種免許状(英語)を取得します。しかし、今春から教員になるというわけではありません。
 ※本記録は、母校英文学科にて編纂した雑誌に掲載したものに加筆・修正を加えたものになります。

 本編に入る前に、あるデータを示しておきます。




 2009年度に高等学校教員免許を取得した方のうち、そのまま新卒生として、受験する率を記載しています。受験率が極めて低いということがわかりますね。
(※中高両方取得することを採用時に条件としている都道府県もあるので、全く受験していない人だけであればもう少し少ないかもしれません)

61,990人が高等学校教諭免許状を取得し、そのうち13.7%の方しか試験を新卒で受験しない」とデータが示しています。教育委員会月報(発行時期の詳細は不明)を参照。

 免許を取得しておきながらも教員にならなかった人という意味で、ある意味多数派に所属している筆者としての体験記を載せてみることが、これから大学1年生を迎える方の役に立てるかもしれないと思い、執筆のモチベーションとします。

教員にならないながらも、4年間の経験から
お伝えできることを以下の3つに絞ってみました。

I.教員にならない筆者が教職課程を通して、得た4つのこと
II.教員にならない筆者が教職課程を通して、失った1つのこと
III.教育実習について

I.教員にならない筆者が教職課程を通して、得たこと

主に以下の3点です。

1.経験
2.知識が広まったこと
3.新しい出会い
4.高等学校教諭一種免許状(英語)

 まず1について。
最も大きな経験値は教育実習です。教育実習については、機会があれば、後述します。
 「教育実習事前指導」といった授業や「司書教諭課程」では他学部の学生とのグループワークを行いました。そこではこんな経験ができました。

・チームで何かをつくる機会
・コミュニケーションの機会
・ゴールを設定して取り組む機会
・プレゼンテーションの機会

 以上のノウハウやスキルは、教師にとってだけではなく、卒業後多くの人にとって役立つスキルです。特に日本の大学の授業は講義形式のものが多いので、これらの経験値は自分から求めていかないと得られません。大学の授業のなかでこのような経験を積めるという点で貴重なことだと思います。

2.知識が広まった

 教職課程を履修したことで、知識が広まったと思います。いろいろな本を課題やグループワークを通して読みました。印象的なのは、大学1年生の時に読んだカール・ロジャーズの「クライエント中心療法」です。この本は、”カウンセリングは、相手の気持ちをうわべではなく心の底から肯定してあげることがカギ”といった趣旨のことが書かれていました。「お客様目線」という言葉や『人を動かす』という本の内容が尊重されている昨今ですが(筆者も『人を動かす』好きです)、それらに通じる人とのコミュニケーションのありかたが書かれていました。
 教師にならない人にとっても、教職課程を通して学ぶ知識は役立つものがきっとたくさんあるはずです。知識1つ1つは「点」にすぎませんが、点と点がつながることで知識の「線」ができます。線が増えることでやがて「立体」となると言います。教職課程は、立体的知識を身につけるための一つの選択肢にしていただけたらと思います。

3.新しい出会い

 実に多くの人と出会いました。英文科の友人、他学部の友人、教職担当教員との出会い。実習先での出会いなどが挙げられます。彼らは、皆バックグラウンドが少なからず異なります。そこで出会った人たちとの会話や共同学習で、見聞が広まりました!
 例えば、司書教諭課程では、25歳以上の学生と一緒にグループワークをして飲みに行ったり、「英語科教育法」では教授や現役の教員との飲み会の席に同席させて頂きました。
 出会いを生かすも殺すもあなた次第。ただ、出会いは少なからずあると思います!

4.高等学校教諭一種免許状(英語)

免許状についても、生かすも殺すもあなた次第です。
私は、今のところ、いかせていません・・・汗

II.教員にならない筆者が教職課程を通して、失ったこと

1.時間

 何を行うにも時間は割かれるものです。「失った」と書いていますが、わたし自身に後悔はありません。なので、語弊があるかもしれません。教員免許をとったからといって、ほとんどの会社の採用面接等で有利になるわけではありません。そのことから、資格を就活のツールと考える人にとっては「後悔」する人がいるかもしれません。でも、短い人生、なるべく後悔はしないほうがいいです。
 故に、多くの時間を割く活動だということは頭に入れて、4年間履修するかどうかの覚悟を決めてください!
 前章であげた「得たこと」のようなものは何も教職課程のみでしか得られないものではないと思います。大学生活を充実させたいと思うのであれば、自分が一番情熱を注げるものに挑戦することをオススメします!!

III.教育実習について

【心が満たされる度】:★★★★★
 生徒との出会い、思い出は、かけがえのないものです。「先生、文化祭に来てください」、「先生のことは一生忘れません」などと生徒から言われて、心からうれしいと思える経験をしました。

【スキルアップ度】:★★★★★
 実習は授業の連続です。授業をするということは、単に60分間話を続ければ良いといったものではありません。なぜなら、生徒のリアクションが自身の振る舞いによって変化するという意味で、授業はナマモノだからです。生徒の意欲を引き出したり、生徒の興味を引く、学力の差がある子どもたちへの配慮、最善の伝え方の熟考など、ひとつの授業に多くのことを教師は要求されます。これを体験できることは、貴重なことです。

【大変度】:?????
 担当教員や実習生のモチベーション次第です!実習生によって、授業を担当するコマ数に個人差があります。2週間の実習を通して6コマ担当する実習生もいれば、20近く担当する実習生もいるそうです。コマ数が多ければその分、授業の準備をする大変さも増していくでしょう。これは、実習生を担当いただく教員にもよってくると思います。と言いつつも、最後は実習生のモチベーション次第だと思います。
もし、「本気で生徒と関わりたい」、「教育に関するスキルをつけたい」と思うのであれば、大変さを望むことも可能でしょう。やはり、自分が一番情熱を注げるものに挑戦することをオススメします。

【感謝度】:★★★★★
 最後に、実習をするのであれば、誰しも感謝を忘れてはいけません。実習させて頂くことは現場の忙しい先生方に迷惑をかけることにもなります。また、指導が稚拙であれば、子どもたちにも迷惑をかけることにもなります。それでも、実習生として受け入れてくれる実習校の先生方や生徒には感謝しなくてはいけません。
 この記事が、実習先の先生に読まれると筆者は困ってしまいますが、実習校には心から感謝しております。本当にありがとうございました。
 最後までお読み頂き、ありがとうございました。

0 件のコメント:

コメントを投稿